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著作権と作品の利用

指導者向けの公開補足

学習本文に加えて、指導の視点・背景・授業での確かめ方を示します。どなたでも読めます。

指導の焦点

「出典を書けば自由に使える」と「授業ならすべて自由」を明確に区別する。引用や教育利用は、目的・必要な範囲・公表状況等の条件を確認する。

一歩踏み込んだ背景

教室内の利用と、Webで不特定多数に公開することは同じではない。授業目的公衆送信の制度も無条件の再配布許可ではなく、文化庁等の最新の説明を確認する。

授業での確かめ方

自作図・許諾素材・引用の三案を比較し、公開教材で採用する方法と理由を述べさせる。教材作成時は出典だけでなく、許諾条件や確認日も記録する。

制度・規格等は本文末尾の参考資料も確認してください。

この単元でできるようになること

Section titled “この単元でできるようになること”
  • 著作権と著作者人格権の役割を説明できる。
  • 引用と、単なる転載や飾りとしての利用を区別できる。
  • 授業内の利用と一般公開の違いを説明できる。

作品ごとに、行う利用を確かめる

Section titled “作品ごとに、行う利用を確かめる”

著作物は、思想や感情を創作的に表現したもので、文芸、学術、美術、音楽の範囲に属するものをいう。文章、写真、音楽、プログラムなどが含まれ得る。保護される作品なら、著作権は創作時に発生する。著作権表示がないことや、ネットで見られることは、自由利用の許可を意味しない。

複製は作品をコピーすること、公衆送信はネットなどを通じて公衆へ送ることに関わる。自分の端末へ保存する行為と、サイトへ掲載する行為では、検討する利用が違う。加工や翻訳にも別の権利が関わることがある。

著作者人格権は、公表するか、氏名をどう示すか、意に反する改変を受けないことなどに関わる。財産的な権利の許諾だけで、全ての改変が認められるとは限らない。

引用は、飾りのための転載ではない

Section titled “引用は、飾りのための転載ではない”

架空の防災案内を比較し、注意書きの表現を論評するレポートを作るとする。その表現を示さなければ論評が伝わらないとき、必要な範囲を示す引用が考えられる。一般に、公表された著作物であること、公正な慣行に合うこと、報道・批評・研究などの目的上正当な範囲であることが必要だ。

作り方 確認の観点
論評する一文を区切って示す 自分の文章と引用部分が明確か
掲示全体を大きく載せる 全体を示す必要が本当にあるか
写真を表紙の飾りにする 引用ではなく許諾が必要な利用ではないか
作者名と掲載元を書く 出所を明示しているか

引用部分と自分の説明の主従関係なども確認する。「全体の何割以内なら必ずよい」という共通の数値基準では判断できない。出典の明記だけで引用の条件が満たされるわけではない。

授業だから、何でも一般公開できるわけではない

Section titled “授業だから、何でも一般公開できるわけではない”

学校などの授業過程で必要な利用には、一定の条件で権利制限の規定が適用される場合がある。ただし、必要な限度や権利者の利益への影響などの条件がある。公衆送信については補償金制度が関わる場合もあり、学校の担当者に確認する。

授業を受ける人への配信と、不特定の人が閲覧できる学校サイトへの掲載は同じではない。授業で使えた資料を、そのまま公開作品へ入れてよいとは限らない。個人で楽しむための利用にも範囲や例外があり、「非営利なら全て自由」とまとめない。

公開前に、素材の来歴を点検する

Section titled “公開前に、素材の来歴を点検する”

自作の文章と図だけで構成できるかを考え、借りる素材には利用条件を確認する。許諾が必要なら、掲載場所、期間、改変、配布数などを具体的に伝える。許諾の記録は保存しておく。ライセンスが示されている素材でも、写っている人物などの別の権利が残ることがある。

生成した画像や文章も、既存作品に似ていないか、他者の権利を侵害しないかを確認する必要がある。生成サービスを使ったという事実だけで安全を保証することはできない。難しい場合は、利用を控える、自分で別の表現を作る、担当者へ相談するという選択肢がある。

用語 意味
著作物 思想・感情を創作的に表現したもの
複製 作品を有形的に再製すること
公衆送信 公衆が受信することを目的とする送信
引用 自分の報道・批評などのため、条件に沿って他者の作品を用いること
  1. 防災案内の一文を論評する場合と、写真を表紙の装飾に使う場合の違いを説明しよう。
  2. 授業提出用の作品を一般公開することになった。どの素材を再確認するか考えよう。
  3. 素材の作者へ許諾を求めるとき、伝える内容を四つ挙げよう。
問1の解答例を見る

一文を自分の論評のために必要な範囲で明確に区別し、出所を示して使う場合は、引用の要件を満たすか検討できる。写真を単なる装飾として使う場合は、出典を書くだけでは引用とはいえず、許諾やライセンスなどの根拠が必要になる。

問2の解答例を見る

写真、挿絵、文章、音楽、動画、フォントなど第三者素材の公開条件を再確認する。授業での利用が認められる場合でも、一般へのWeb公開まで同じ条件でできるとは限らない。人物の肖像や個人情報も確認する。

問3の解答例を見る

使いたい作品と使用箇所、利用目的、公開・配布の方法と範囲、加工の有無を伝える。期間、作者名・出典の表示方法なども具体化して許諾の記録を残す。

著作物の利用は、目的、方法、範囲、許諾や法の条件から確認する。出典表示、非営利、授業目的という言葉だけで結論を出さず、公開前に利用の根拠を点検しよう。