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データの種類:形式と尺度を見分ける

指導者向けの公開補足

学習本文に加えて、指導の視点・背景・授業での確かめ方を示します。どなたでも読めます。

指導の焦点

数で記録されていても、必ず量的データとは限らない。出席番号のような識別用の数値と、測定値を区別する。

一歩踏み込んだ背景

名義・順序・間隔・比例の尺度は、どんな比較や演算に意味があるかを考える手がかりになる。分析方法は尺度だけで機械的に一意には決まらない。

授業での確かめ方

気温・満足度・移動時間・番号を分類し、平均や差を取る意味を説明させる。満足度の数値化では、段階の間隔をどう仮定するかも明示する。

制度・規格等は本文末尾の参考資料も確認してください。

この単元でできるようになること

Section titled “この単元でできるようになること”
  • 量的データと質的データを例に沿って区別できる。
  • 数値で表されていても計算できるとは限らないことを説明できる。
  • 欠損値と0など、異なる意味の表現を見分けられる。

データを分析する前に、値がどんな形で記録され、何を意味しているかを確かめる。個数や時間のように量を表す量的データと、色や分類のように区別を表す質的データは、同じ方法で扱えるとは限らない。文字列として保存されているか、数字として保存されているかだけで分析方法を決めない。

例えば「1年1組」「1年2組」の1と2は、クラスを区別するラベルである。2組が1組の2倍という意味ではない。一方、テストの点数や記録時間なら、値の差や大小に意味がある場合がある。ただし、点数差が能力差と同じ意味かどうかは、評価の設計や測定方法を確かめなければならない。

記録例(架空) データの種類 気をつけること
読んだ本の冊数 量的 個数として比較できる
通学手段 質的 自転車や徒歩に大小はない
満足度「低・中・高」 順序のある質的データ 順序はあるが間隔が等しいとは限らない
学級番号「1、2、3」 質的な識別番号 数値計算の対象ではない
記録の空欄 欠損の可能性 0や未実施と区別する

これらは形式の違いを説明するための例で、調査した実データではない。

データの尺度は、値の間にどんな関係があるかを示す。名義尺度では値を分類名として使い、大小はない。順序尺度では順位を比べられるが、隣り合う段階の差が同じとは限らない。間隔尺度では差に意味がある一方、比率尺度のように「2倍」と解釈できる原点を持つとは限らない。比率尺度では、意味のあるゼロを基準に比を考えられる。

たとえば気温の摂氏は差を比べられるが、20度が10度の二倍の暖かさとは言いにくい。これは摂氏の0度が温度の不在を示すわけではないからだ。身長のように0が量の不在を意味する尺度とは違う。尺度名を覚えるだけでなく、ゼロや単位が何を意味するかを確かめると、誤った比較を避けやすい。

データは、列と行が決まった表形式の構造化データだけではない。タグや項目を含むJSON、XMLなどは半構造化データとして扱われることがある。自由記述文、写真、録音は一定の表形式にそのまま収まりにくい非構造化データの例だ。分類の境界は目的によって異なり、ファイル形式だけで使い道が決まるわけではない。

文章から特定の単語を数える場合でも、表記揺れ、複数の意味、文脈によって結果が変わる。画像を分類する場合は、撮影条件や対象の偏りが結果に影響する。非構造化データは分析できないという意味ではなく、分析目的に合わせて特徴を取り出す工程が必要ということだ。

用語 意味
量的データ 数量を表すデータ
質的データ 種類や分類を表すデータ
尺度 値の順序や差、比にどのような意味があるかを示す区分
欠損値 記録されていない、または利用できない値
半構造化データ 一定のタグや項目はあるが、表形式に固定されないデータ
  1. 「学級番号3」は質的データとして扱う理由を説明しよう。
  2. 満足度の「低・中・高」を数値に置き換えても、間隔が等しいとは限らないのはなぜか。
  3. 記録が空欄のとき、0に置き換える前に確かめたいことを挙げよう。
問1の解答例を見る

3は学級を区別するラベルであり、量の大きさではない。学級番号を足したり平均したりしても、通常は学級の性質を表す意味のある量にはならない。

問2の解答例を見る

低・中・高には順序があるが、低から中への差と中から高への差が同じ大きさとは限らないためである。1・2・3と番号を付けても、等間隔で測定したことにはならない。

問3の解答例を見る

未回答、未測定、該当なし、実際の0など、空欄が何を意味するかを確かめる。欠測を0として扱うと、平均などの結果を不適切に変えてしまうことがある。