コンテンツにスキップ

データの代表値と見方

指導者向けの公開補足

学習本文に加えて、指導の視点・背景・授業での確かめ方を示します。どなたでも読めます。

指導の焦点

平均・中央値・最頻値を、計算できるだけでなく目的に応じて選ぶ。外れ値を、都合が悪いからという理由で除かない。

一歩踏み込んだ背景

同じ代表値でも分布や散らばりは異なる。外れ値が誤記か、珍しいが正しい観測かによって扱いは変わるため、元の記録や収集過程を確認する。

授業での確かめ方

少人数の架空の待ち時間に大きな値を加え、平均と中央値を比べる。どちらか一方が常に正しいとせず、知りたいことに対する適切さを説明させる。

制度・規格等は本文末尾の参考資料も確認してください。

この単元でできるようになること

Section titled “この単元でできるようになること”
  • 平均値、中央値、最頻値を求め、その違いを説明できる。
  • 代表値だけでなく、データの分布を見る理由を説明できる。
  • 二つの量に関係が見えても、原因とは限らないと説明できる。

5人の1か月の貸出冊数が、1, 2, 2, 3, 12 冊だったとする。これは教材のために作った架空のデータだ。

集まりの特徴を一つの値で表すものを代表値という。代表的なものに、平均値、中央値、最頻値がある。

代表値 求め方 この例
平均値 合計をデータの個数で割る (1 + 2 + 2 + 3 + 12) ÷ 5 = 4冊
中央値 大きさの順に並べ、中央の値を取る 2冊
最頻値 最も多く出てくる値を取る 2冊

平均4冊は計算として正しい。しかし、この5人に4冊借りた人はいない。12冊という、他より大きな値の影響も受けている。

中央値を求める前には、必ず大きさの順に並べる。入力された順番の真ん中を取るのではない。

個数が偶数の場合は、中央の二つの値の平均を取る。たとえば 1, 2, 5, 8 の中央値は、(2 + 5) ÷ 2 = 3.5になる。

代表値と、散らばり方をセットで見る

Section titled “代表値と、散らばり方をセットで見る”

4, 4, 4, 4, 4 も、1, 2, 2, 3, 12 も平均は4だ。しかし、分布は大きく違う。

集まりを比べるときは、最小値と最大値、どのあたりに値が集まるかも見る。集計の目的によっては、ヒストグラムや箱ひげ図なども役に立つ。

関係が見えても、原因とは限らない

Section titled “関係が見えても、原因とは限らない”

暑い日の飲み物の販売数と、冷房の利用時間に、同じように増える傾向が見えたとする。このように二つの量の間に見られる関係を、相関として調べることがある。

それだけで「飲み物を多く売れば、冷房の利用時間が延びる」とは言えない。気温が両方に関係しているかもしれない。

原因と結果の関係である因果関係を考えるには、他の要因や、調査の方法も検討する必要がある。

図書室に来た人だけに読書冊数を尋ねても、それを全校生徒の傾向として扱えるとは限らない。誰の、いつの、どの範囲の記録かを確かめる。

空欄も、0冊と同じ意味とは限らない。未回答なのか、記録漏れなのかを区別して整理しよう。

用語 意味
代表値 データの集まりを一つの値で表したもの
分布 値がどの範囲に、どれくらい集まっているかという様子
相関 二つの量の間に見られる関係
因果関係 原因と結果の関係
  1. 2, 3, 3, 4, 8 の平均値、中央値、最頻値を求めよう。
  2. 平均値が同じ二つの集まりでも、分布が異なる例を作ろう。
  3. 「学習アプリをよく使う人ほど得点が高い」という調査だけで、アプリの効果を断定できない理由を挙げよう。
問1の解答例を見る

平均値は(2+3+3+4+8)÷5=4、中央値は小さい順に並べた中央の3、最頻値は最も多い3となる。

問2の解答例を見る

たとえば[4,4,4]と[1,4,7]はどちらも平均4だが、前者は全て同じ値、後者は1から7まで広がる。平均だけではばらつきや形は分からない。

問3の解答例を見る

学習意欲や元の学力など、別の要因が利用時間と得点の両方に関係している可能性がある。得点の高い人がよく使うという向きも考えられ、相関だけでは因果関係を断定できない。