問題の発見と解決
指導者向けの公開補足
学習本文に加えて、指導の視点・背景・授業での確かめ方を示します。どなたでも読めます。
指導の焦点
解決策の案を出す前に、現状と望む状態、評価の基準を言葉にさせる。「アプリを作る」は目的ではなく手段になり得る。
一歩踏み込んだ背景
問題解決は一方向の手順ではない。試行で新しい制約が見つかれば、問題の捉え方や評価指標にも戻る。数値が改善しても、別の人の負担が増える場合がある。
授業での確かめ方
校内の待ち時間を題材に、平均だけでなく最長時間・利用者の負担も評価軸にする。改善前後を同じ条件で比べられる調査方法まで提案させる。
制度・規格等は本文末尾の参考資料も確認してください。
この単元でできるようになること
Section titled “この単元でできるようになること”- 現状と目標の差を、問題として説明できる。
- 原因の仮説と、確かめた事実を分けて説明できる。
- 対策を実施した後の評価方法を提案できる。
まず「今」と「こうしたい」を分ける
Section titled “まず「今」と「こうしたい」を分ける”昼休みの貸出に列ができている。そこで、すぐに機械を買う案が出たとする。しかし、列ができる原因はまだわからない。
問題は、現状と、目指す状態との間にある差として整理できる。
| 観点 | 架空の調査例 |
|---|---|
| 現状 | 調査した5日間で、待ち時間が5分を超えた利用者がいた |
| 目標 | 同じ条件で調べたとき、全員の待ち時間を3分以内にしたい |
| まだわからないこと | 曜日による違い、列が伸びる時刻、手続きのどこに時間がかかるか |
目標を数値で置くと、達成を確かめやすい。ただし、数値が唯一の正解になるわけではない。予算や、担当者への負担も条件に含める。
原因は、決めつけずに確かめる
Section titled “原因は、決めつけずに確かめる”「機械が遅い」は仮説だ。「利用者が同じ時刻に集中する」「返却と貸出が同じ列になっている」も仮説になる。
仮説ごとに、何を調べればよいかを考える。
- 列に並んだ時刻と、手続きが終わった時刻を記録する。
- 貸出と返却に分けて、手続きの時間を比べる。
- 利用者が集中する時間帯を確かめる。
この調査で氏名が必要とは限らない。目的に必要な項目だけを集めることも大切だ。
対策は、一つに飛びつかない
Section titled “対策は、一つに飛びつかない”列を分ける、案内を改善する、手続きの一部を先に済ませる。複数の対策を出し、費用、効果、負担、実行しやすさで比較する。
どれも一度に変えると、何が効いたかわかりにくくなる。できる範囲で、小さく試して結果を見る。
振り返りまでが問題解決
Section titled “振り返りまでが問題解決”対策の前後で、なるべく同じ方法を使って記録する。利用者数などの条件も見る。利用者が大幅に減った日と比べただけでは、対策の効果とは言い切れない。
うまくいかなかったときも、原因や条件を見直す材料になる。実施して終わりではなく、評価して改善する。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 現状 | 今、実際に起きていること |
| 目標 | 達成したい状態 |
| 仮説 | 確かめる前に立てた、説明の候補 |
| 評価 | 結果を目標や条件と照らして判断すること |
- 「学校の案内がわかりにくい」を、調査できる問題に言い直そう。
- 機械が遅いという仮説を確かめるなら、どんな記録が必要か。
- 待ち時間が短くなったとき、対策以外に考えられる理由を挙げよう。
問1の解答例を見る
たとえば「初めて来校した人が受付までに迷う場所と、到着までの時間を調べる」。対象者・場面・測る内容を具体化すると、現状と改善後を比較できる。
問2の解答例を見る
操作の開始・終了時刻、処理内容、データ量、端末の状態、通信状況などを同じ条件で記録する。人が操作を迷う時間と、機械の処理を待つ時間を分けて測る。
問3の解答例を見る
利用者が減った、慣れた人が多かった、測定した時間帯や曜日が違った、処理する内容が軽かったなどが考えられる。比較条件をそろえて確かめる。