画素と画像の大きさ
指導者向けの公開補足
学習本文に加えて、指導の視点・背景・授業での確かめ方を示します。どなたでも読めます。
指導の焦点
画素数と印刷時の密度、表示の大きさを分けて扱う。「解像度」という語を使う際は、どの量を指しているか明示する。
一歩踏み込んだ背景
ラスター画像の拡大では、補間で画素を増やしても元にない細部を正しく復元できるとは限らない。輪郭が滑らかに見えることと情報が増えることは違う。
授業での確かめ方
小さな方眼図を拡大し、画素数を固定した場合と増やした場合を比べる。印刷サイズだけを変えたときの画素密度も計算させる。
制度・規格等は本文末尾の参考資料も確認してください。
この単元でできるようになること
Section titled “この単元でできるようになること”- 画素数、画素密度、表示サイズの違いを説明できる。
- 非圧縮の画像データ量を計算できる。
- ラスタ形式とベクタ形式を用途から選べる。
小さな区画に、色を割り当てる
Section titled “小さな区画に、色を割り当てる”画像を格子状に区切り、各区画の色を数値で表す方式をラスタ形式という。一つ一つの区画が画素、またはピクセルだ。横の画素数と縦の画素数を掛けると、総画素数になる。横640、縦480なら、307200画素だ。
画素の数が多いほど細かな模様を記録しやすいが、それだけで鮮明さが決まるわけではない。撮影時のピント、手ぶれ、レンズ、圧縮などの影響もある。ぼけた画像の画素数を後から増やしても、元の対象の細部を正確に復元できるとは限らない。
架空の観察写真の容量を計算する
Section titled “架空の観察写真の容量を計算する”葉の観察写真を、横320、縦240画素、一画素あたり二十四ビットで保存するとする。ここでは、圧縮せず、透明度や付加情報も含めない。
| 手順 | 計算 |
|---|---|
| 総画素数 | 320 × 240 = 76800画素 |
| ビット数 | 76800 × 24 = 1843200 bit |
| バイト数 | 1843200 ÷ 8 = 230400 B |
| 十進接頭語で表す | 230.4 kB |
二十四ビットを八で割ると一画素は三バイトになるため、320 × 240 × 3としてもよい。横も縦も二倍にすると、総画素数と同じ色深度での容量は四倍になる。二倍になるのは片方だけを二倍にした場合だ。
実際の画像ファイルは、圧縮、色の表し方、ヘッダー、行ごとの調整などによって、この単純な積と一致しないことがある。計算では何を含めるかを明確にする。
画素数と、紙の上の大きさは違う
Section titled “画素数と、紙の上の大きさは違う”同じ横1200画素の画像でも、幅四インチで印刷すれば一インチあたり300画素、幅八インチなら150画素になる。画像の画素密度はppiで表す。四インチは10.16センチメートルであり、長さの単位も確認する。
印刷機がインクの点を置く密度を表すdpiと、画像の画素密度は同じ概念ではない。機器やソフトウェアの表示では「解像度」という語が画素数にも密度にも使われるため、単位と文脈を見る。画像ファイルの密度設定だけを変えても、画素そのものが増えるとは限らない。
拡大するときの二つの考え方
Section titled “拡大するときの二つの考え方”ラスタ画像を拡大する際、周りの画素から新しい画素の色を計算して補うことがある。滑らかに見せることはできても、撮影されていない細部が事実として増えるわけではない。補正や生成で加わった特徴を、観察の証拠と混同しない。
一方、線や図形を座標や式で表すベクタ形式は、表示時に形を描き直せるため、拡大しても線が滑らかになりやすい。案内図やロゴなどに適する。ただし、どんな画像も小容量で表せるわけではなく、複雑な写真は通常ラスタ形式で扱う。
公開する画像の条件を選ぶ
Section titled “公開する画像の条件を選ぶ”観察用の保存原本は細部を残し、ウェブ掲載用は表示サイズや通信量に合わせた複製を作るとよい。原本に直接上書きしない。画像内の名札、顔、位置情報などの公開範囲も点検する。
また、画像の中だけに大切な文章を入れると、拡大時の読みにくさや読み上げの問題が起こる。説明文や代替テキストを併せて用意し、画像が表示されない場合にも要点が伝わるようにする。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 画素 | ラスタ画像を構成する一つの区画 |
| 色深度 | 一画素の色などに割り当てるビット数 |
| ppi | 一インチあたりの画素数 |
| ベクタ形式 | 図形を座標や式などで記述する方式 |
- 横480、縦300画素、二十四ビットの非圧縮画像について、画素データ部分のバイト数を求めよう。
- 横1800画素の画像を幅六インチで印刷する。画素密度を求めよう。
- 学校の紋章と植物の観察写真では、保存形式にどんな違いが適するか説明しよう。
問1の解答例を見る
432000 B。480×300=144000画素、一画素24 bit=3 Bなので、144000×3=432000 Bとなる。管理情報は含めない。
問2の解答例を見る
300 ppi。1800画素÷6インチ=300画素/インチとなる。
問3の解答例を見る
紋章のように輪郭が明確な図には、拡大しても形を保つベクタ形式や、輪郭を劣化させないPNGなどが適する。植物写真はラスタ形式で、観察に必要な細部を保ちつつ容量や圧縮設定を選ぶ。
画素数は記録する区画の数、画素密度は表示する長さとの関係だ。色深度や圧縮も容量に関わる。拡大や変換の限界を理解し、用途に合う原本と配布用画像を用意する。